アメリカに観光ではなく留学で来たなら、ホームステイはぜひ体験してみたいものですよね。

ホスト・ファミリーと共に過ごし、アメリカの家庭で、アメリカの生活を肌で感じる。その上活きた英語も学べる。
まさに一石二鳥。そしてこれこそがアメリカ留学の醍醐味だと思います。

ですが現実は、良い事ばかりでもありません。

言い方を変えますと、すべてはホスト・ファミリー次第と言う事です。

私が初めてこちらに来た時、最初にお世話になったホストファミリーは、インド人の方でした。
まず普通に「えっ、アメリカ人じゃないの?」って感じでした、、、

夫婦二人に、娘さんが一人というご家庭でした。
一軒家で、その内の一部屋を貸して頂けました。
第一印象はとても気さくな感じで、物静かな奥さん、そして無邪気な娘さんと、どこにでもありそうな普通の一家という印象でした。
ですが、そう思えたのは最初の数日だけで、そこからはなかなか面倒臭い日々が始まりました。

私がその家庭にステイし始めた時期は、ちょうど真夏の時で、連日とても暑い日が続いていました。
いつものように朝シャンをし、朝食を済ませ、学校に出掛けました。
そして夕方ごろに帰宅すると、玄関のドアが開きません。カギはあらかじめ合鍵を頂いているのですが、何回差し込んでもドアが開く気配はありません。
仕方がないので玄関の前で数十分ほど待っていると、ホストが帰宅して来ました。
そしたらドアにはもう一つカギがあって、そちらがロックされていたので、私のキーだけでは開かなかったわけです。

ちなみにここLAは有名な観光都市ですが、逆に有名な犯罪都市でもあります。ですので、ドアにはキーが2つ以上ついている家庭はザラにあります。
こういったことが数回ありましたが、ここでイライラしても仕方がないので、別に気にしていないフリをして事を済ませました。
ですが、このことも含め、一日を外で過ごして来た私は、この暑さのせいもありとても汗ばんでいました。ですので部屋に戻るなり、とにかくシャワーを浴びたいと思い、シャワー・ルームへ向かいました。
そうするとホストが真顔で、「何やってるんだ、シャワーは今朝浴びただろ? シャワーは一日一回だけだ」と言ってきました。私は訳が分からずなぜだか尋ねたところ、「LAは水道代も高く、水がもったいない。節約しているんだ」という答えでした。
言ってる事はわからないでもないですが、なんだかセコイなって思いました。
ですがそういう決まりなら仕方ないので、それからは一日一回だけシャワーを使う事にしました。

ですが、事はこれだけではすみませんでした。

私は決してトイレは近い方ではないのですが、ある日普通に用を足してトイレから出てきたところ、「君はトイレを使いすぎだ。小便をするだけなら裏庭でやれ」と言われました。これも理由は同じで、トイレに流す水がもったいないからという事です。
シャワーの事といい、これもなんかいい気はしませんよね。
もちろん裏庭で用を足したりはしませんでしたが、それからはなるべくトイレを必要以上には使わないようにしました。

ちなみにこの家庭は先ほども言いましたがインド人で、食事は毎日カレーです。

ホント毎日です。 全くイチローじゃないんですから、、、、

カレーの具は日によって変わります。宗教上、肉はチキンしか食べないらしく、基本はベジタブルだけのカレーで、日によって、魚入りや、ビーンズのカレーなど日替わりです。
週に一回チキンカレーが出てくるのですが、鳥の爪の部分まで出てくる本格派で、これだけは食べ応えがありましたが、やはり毎日はさすがにキツイです。
朝は普通のアメリカ人家庭のように、シリアルやトーストといった感じでしたが、、、

こういう事からも、とにかく日に日にストレスが溜まってきました、、、、

ホームステイをしていますと、やはりある程度はホスト・ファミリーの生活スタイルに合わせないといけないのは仕方のない事です。
一緒に食事をとったり、買い物などに出かけたり、家事を手伝ってあげたりですとか、お互い協力する場面も出てきます。
面倒くさい部分もありますが、最初にも言いました通り、こういう日常生活を共にするという事が、ホーム・ステイの醍醐味と言いますか、目的とも言えますので、、、、
ここで英語力を磨いたりとか、度胸をつけたりとか出来る訳ですから、、、

ですが、ここでの生活は日が経つにつれてだんだんと酷なものになってきました。
例えば、今までは洗濯機も最低でも3日に一回は使用させて頂いていたのに、週1回しかダメだ。と言ってきますし、1日1回のシャワーにしても、時間が長い、もっと早く済ませろ、などと言ってきたりします。
日常会話にしても、最初は特に何も気にしたそぶりは感じませんでしたが、日に日にこちらの英語力やアクセントなどを小馬鹿にするような態度も目に付くようになりました。

そしてその内こちらも理解しました。

「用は見下しているんだなと」

当時、まだアメリカに来て一か月も経っていない状況でしたし、こんな事で躓いていられないなと思った私は、翌月のレント(家賃)を払う前に、この家庭を出て行く事を決意しました。